Ideal Sleep Ⅱ

情報捜査管理機関ノヴァの創設者の一人にして、代表を務める人物……の少年時代。純粋な魔術師ではあるものの、魔術の扱いを苦手とする”アポティシア”の一人。他の魔術師たちからは「雑魚」

と罵られ、いつしか彼は「最弱の魔術師」を自称するようになった。

​

そんな彼の最大の強みといえるのが武器である「短剣型魔力吸収装置(アブソーバー・ノヴァ)」。

一見それはただの短剣のように見えるが、その本質は「一時的に相手の魔力を吸収し、己の魔力に

変換する」ところにある。これによって、「相手が強ければ強いほど自分も強くなる」という状況

を作り出し、幾度もの争いごとを切り抜けてきたという。

ちなみにこの装置は彼自身の手で生み出されたもの。元々は機械いじりや武器作りが趣味でお手製

の武器はこの限りではない。

​

このように手先が器用一方、性格はかなりのくせ者。散々魔術の腕を馬鹿にされてきた故か、大の

魔術師嫌い。その上、コミュニケーション能力も壊滅的。まず人の言葉に耳を貸そうとせず、口を

開いたかと思えば他者を拒絶する言葉を吐き出すばかり。

だが、たとえ嫌いであっても魔術師とマジェノ、その双方を敵と見なすようなことはしなかった。

​

「いつまでも互いを傷つけ合うだけでは埒が明かない」

​

──魔術師とマジェノの抗争を止める方法を探るべく、彼は一人、動き出した。